「まさに映像体験」IMAX版 2001年宇宙の旅 Tジョイ品川【感想・ルポ】

結論から言って、IMAXで見て良かった…。これ以上ない没入体験。レポします。

2001年宇宙の旅 IMAX版ポスター

製作50周年を記念して作られた、映画『2001年宇宙の旅』のIMAX版が2週間限定で上映されているということで、Tジョイ PRINCE 品川のIMAXシアターに足を運びました。

T・ジョイPRINCE品川 IMAXシアター

ちなみに、東京都内のIMAXシアターでは品川のIMAXが一番おすすめできると思っています。とにかくスクリーンのサイズの迫力がスゴいんですよね。TOHOシネマズ新宿やTOHOシネマズ日比谷などの映画館のIMAXも行ったことがあるんですが、どうしてもスクリーンとの距離を感じてしまいます。それに対し品川のIMAXは、座席の傾斜が急に設計されていて、スクリーンとの距離が非常に近く、より没入感のある映像体験をすることができます。

ということで脇道にそれましたが、せっかく『2001年』を見るなら品川IMAXだろうということで、いざ。

T・ジョイPRINCE品川 入り口

僕が『2001年』を見たのは3年前の1度きりなんですよね。そのときはBlu-rayをテレビの画面で見たので、迫力はイマイチでしたが、映像とストーリーが素晴らしく、「なんかスゴイものを見てしまった」という衝撃を受けたのを覚えています。いつか映画館で見たいと思っていたので、待ちに待ったイベントでした。

IMAX版とは別に、京橋の国立映画アーカイブ70mmフィルム上映版が限定公開されるというイベントもあったのですが、こちらはチケットの入手が出来ず、断念してしまいました。IMAX版はなんとしても、という熱が込もった経緯があります。

期待を胸に6階のIMAXシアター限定ロビーに向かうと、チケットを手にした観客の皆さんが待っていました。かなりの映画ファンとお見受けします。もはや宇宙船に乗り込む「クルー仲間」ですね。

シアターの入り口に歩を進めると、立て看板にこのような案内が。

IMAX 2001年宇宙の旅 立て看板案内

「こちらの上映作品は、予告映像の上映後、映像は流れず約3分間音楽のみが流れる状態となります。」 なるほど。当時の上映を可能な限り再現しているみたいですね。

IMAX版の予告編が終わると、照明は点いたまま、序曲からスタート。もうこの時点で音響の素晴らしさが分かりました。期待感や不安感を煽る不協和音の曲。当時は入場曲として使われたのかな?

曲が終わると照明が暗転し、映画本編がスタート。まずは「人類の夜明け」。古代の地球の風景が映し出されます。そして歴史的モンタージュ(骨→人工衛星)のあと宇宙船のシーンへ。

まず画面について思ったこと。IMAXだと画面がかなり大きいので、フィルム撮影特有のザラつきが分かります。その質感もまた古き良き映画ということをまざまざと印象づけます。さすがに「高画質」とまではいきませんが、スクリーンいっぱいに広がる画面のおかげでかなり詳細な部分まで見ることができます。特に人物の大写しは表情がよく分かり、サルの目線の演技や宇宙船内での会話のシーンは鮮明に表情が映り良かったです。また、宇宙ステーションを始めとする宇宙船の特撮も、大画面の恩恵を受けて仔細に見ることができます。作り込まれた外観や内観を見ると、かなり合理的に設計されながら、美しく見えるデザインになっていることが分かります。遠景なのに窓の中に人が動いているのがよく見えました。

さらに没入感が家で見るのとは違いますね。『2001年』の中には、いくつか手持ちカメラを使った撮影シーンがあります。例えば、月面基地モノリスが発掘された場所へ調査員たちがスロープを降りていくシーンなどですね。そうしたシーンでは、まるで自分がその1人になったかのような錯覚さえ覚えました。大画面のIMAXだからこそ、そこにいるような感覚を味わえました。これぞまさに「映像体験」。

そして音ですね。個人的にIMAXで見て一番良かったと思ったのは、音響です。IMAXのスピーカーってこんな音量出たの?ってくらい、こちらを圧倒するような迫力がありました。観客を震わすほどの重低音。不安を駆り立てる高音。圧巻の一言です。特にモノリス(黒い板ですね)が登場するシーンなどで使われる「レクイエム」なんかは、本当に迫ってくるものがあり、神々しさ・不安感・焦燥感をひしひしと感じました。

物語は2章「木星使節」へ。ディスカバリー号、活動中のクルー2名、そしてHAL(ハル)のお目見えです。大画面で随所に「IBM」のロゴがくっきり見えましたね。

ハルが2人のクルーの共謀を読心術で読み取っている、という不穏なシーンのあと「INTERMISSION (休憩)」の文字が。休憩取らせるのかな?と思っているとスタッフの方が「15分間の休憩となります」というアナウンスをしてくれました。いかにも20世紀の映画という感じですね。前に映画館で休憩があったのは『風と共に去りぬ』だったかな?リフレッシュしてから待っていると間奏曲が流れ、後半戦へ。

いやー、待ってました、ハルの反乱ですね。大写しになったハルの「思考部」の赤く光るスロットが並ぶデザインも、大画面に映えて非常に良かったです。最後に命乞いをするハル。「もうしないからやめて」と懇願するハル。「ハル可愛いよ、ハル〜」と思ったのは僕だけでしょうか。デイジーの歌を歌うも、だんだんゆっくり低音に。ここの低音が響く感じもIMAXの音響ならではという感じでけっこう怖かったです。

いよいよ終章「木星 そして無限の宇宙の彼方へ」。ここで特筆すべきは何と言ってもスターゲートを旅するシーンですね。ボーマン船長と共に旅をしているかのような感覚。さまざまな色の光が眼の前に迫ってきてIMAXの迫力・没入感の真骨頂を味わうことができました。圧倒されるような映像センス。おそらくこのシーンはIMAX版でこそ、スタンリー・キューブリック監督が70mmフィルムで意図した「映像体験」を追体験できるのではないでしょうか。

圧巻のラストののち、照明は明るくなり退場曲が流れます。5分程度流れたあと、そのまま音楽は終わり、全体が終了です。

ストーリーについてはいろいろ考察されてるので下で紹介するサイトさんを見れば良いと思います。映画館で見るときは「考えるな、感じろ。」ですね。考えるのは見終わったあと、ということで。

迫力ある大画面、響き渡る重低音のサウンドIMAXで見た価値は存分にありました。見る度に思っていますが1968年の映画とは思えないです。2018年の今の技術でIMAXだからこそ蘇る「映像体験」は感謝としか言いようがないです。もちろん、クリストファー・ノーラン監督が嫌っているデジタル処理を介しているため、この映画の良さを100%出せているとは言いません。しかし、僕のように『2001年』を映画館で見ていない世代にとってIMAX上映は極めて意味のある上映だったと思いますし、色々な良さに気付くことが出来た、価値のある体験でした。企画してくれたワーナーブラザーズジャパン、ありがとう。いつか日本の映画館の「大画面」で70mmフィルム版が見られる日は来るのかな。期待しましょう。


参考

IMAX上映に関するツイート4つ。IMAX上映での流れ、画面アスペクト比、70mmフィルム版との比較など、詳しい説明をして頂いており、大変参考になります。というかIMAXでさえ音がスゴかったのに、70mmのdts音源の方が重厚感あるみたいですね。

② レビューサイトFilmarksでの考察・解説。「モノリスは叡智を人類に授け、攻撃的に進化させた」、「道具と人間との関係性の変化」、「ラストの意味」などなど一般的説明で分かりやすくまとめられています。

【ネタバレ解説】SF映画『2001年宇宙の旅』が描いた人類進化論とモノリスの意味 | FILMAGA(フィルマガ)

③ 製作過程を解説してくれたブログさん。これを読むとスタンリー・キューブリック監督のえげつないほどのこだわりが分かります。完全にドSです。傑作というのは生まれるべくして生まれるんですね。

『2001年宇宙の旅』が名作である理由を解説してみた - 1年で365本ひたすら映画を観まくる日記

④ HAL 9000をBluetoothスピーカーとして再現しちゃったよという記事。確かに、AlexaやGoogle Homeといったスマートスピーカーが普及してきた現代から考えると、HALの機能というのは時代を先取りしていた感があります。

あの声で喋る! 完全再現された「HAL 9000」Bluetoothスピーカー | ギズモード・ジャパン