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映画『ミッション:インポッシブル3』感想レビュー/伏線回収とベンジーの可愛さ 8点/10点

あらすじ

トム・クルーズ製作・主演の大ヒットシリーズ第3弾。イーサン・ハント(クルーズ)は第一線から退き、後進の指導をしていたが、自分の教え子の女性エージェントが、IMFの長年の宿敵である武器商人デビアンフィリップ・シーモア・ホフマン)捕獲作戦に失敗し、拉致される。彼女を救助するためにベルリンへ飛んだハントたちだが……。監督はTVドラマ「エイリアス」で注目され、本作が長編劇場映画デビューとなるJ・J・エイブラムス。(映画.com)

感想

イーサン・ハントたちのチームワーク

ベンジー(サイモン・ペッグ)

今作ではチームワークに焦点が当てられています。シリーズでの常連ルーサー、可憐だけどアクションが容赦ない女性ゼーン、脇役のデクラン。バチカンでの作戦行動はワクワクしながら見ていました。やはりミッションインポッシブルシリーズは実際にロケ地に行って撮影するので、リアリティーが出て物語に説得力が出ています。チームワークを大事にするあまり、上海のビルの中でイーサンが単独でラビットフットを奪取するところは省略されています。まあ、これはこれでテンポがいいから良いのですが。

そしてチームワークと言えばもう1人、忘れてはならないのがPCエンジニア・ベンジーサイモン・ペッグ)です。この3作目が彼の初登場なんですね。いやーサイモン・ペッグの抜擢はシリーズにとって正解でしたね。ウィットに富んでいるので、彼が出ているだけでなんとなくシリアスな場面でも安心できるんですよね。日本でいうところの大泉洋ムロツヨシのような存在。今作では今よりちょっとぽっちゃり目ですがカワイイですねー。無線でイーサンの道案内をするシーンは初登場時からやっているんですね。素晴らしい「イスの男*1」っぷり。

巧みな伏線回収

今作、ストーリーテリングが非常に優れていますね。犯人のくだりもそうなんですが、後半にかけてさりげなく伏線を回収していくのを見て、上手い脚本だなあと思いました。

まずジュリアが医者だということ。これは一番最後でイーサンの心臓マッサージをするところに活きています。というかジュリア初心者で拳銃扱えるとか強すぎでは?

そしてイーサンが読心術を使えるということ。冒頭のパーティーでイーサンは、離れているジュリアたちの会話に入っていきます。「聞こえてたのかしら?」と訝しがる友達ですが、このシーンでは読心術で会話を聞いているんですよね。後半でIMFに捕らえられたイーサンですが、上司は唇の動きだけで情報を伝え、助け舟を出します。

その会話のシーンでの「ワナカ湖だよ」というのも、後半で捕らえられたジュリアが本人かどうかを確かめるために使われ、伏線となっていましたね。

ただ脚本的には兵器「ラビットフット」って結局何だったの?という疑問が残る点がイマイチでした。「バイオハザード」の文字が書いてあったので、何かの生物兵器かな?と思いましたがそれ以上の情報がなく若干モヤモヤ。

ジュリアの登場

今作ではイーサンの妻となるジュリアが初登場します。イーサンの心の拠り所のような存在です。彼女がいるからこそ、イーサンが頑張れる、という関係性がいいですよね。

今年の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』でも再登場して話題となりました(ミッション:インポッシブル/フォールアウト 感想レビュー 『トイレの格闘シーンは名シーン』8点/10点 - おんせんブログ)。フォールアウトでは恋心以上に結ばれる2人の関係を描いており、スパイアクション映画らしからぬ男女の絆という要素が編み込まれていきます。この3作目ではまだそこまで絆は深くなく、2人の幸せが絶頂にある頃の話で、物語はハネムーンに出かける彼らを映して終わります。

まとめ

この3作目にして主要登場人物は出揃いました。魅力的な人間関係を描くことで、単なるスパイアクション映画ではなく、感情の機微を描くことにも成功しています。その意味で、この『M:i:Ⅲ』は素晴らしい既定路線を作り上げています。

*1:スパイダーマン ホームカミングを参照のこと