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映画『ジョゼと虎と魚たち』感想|前向きになれるボーイミーツガール

アニメのジョゼ虎、かなり良かったです!僕としては好きな映画でした。

ジョゼと虎と魚たち

夢を追いかける大学生・恒夫と、外の世界を知らず自らの空想の世界で生きてきた車椅子の女の子・ジョゼが出会うボーイミーツガール。田辺聖子さんの短編小説が原作で、2003年には実写映画化されています。

この映画、何よりヒロインのジョゼが可愛いです。健気なうえに、恒夫と出会い立派に成長する姿が描かれており、好きにならない人はいないのではないでしょうか。いわゆる男性ウケ、もそうなのですが、脚本の桑村さや香さんは女性も友達になりたいような、そんなヒロイン像を目指したそうです。こびすぎることなく、地に足の着いた感じが良かったように思います。

また、主人公の恒夫もこれまた「超」が付くほどの好青年で、海外留学という夢に向かってひたむきに頑張る姿は応援せざるを得ないです。もちろん彼は彼で未熟な部分もあるんですが、全然許容範囲というか、むしろ可愛らしいくらいですね。

メインストーリーは夏から始まりやがて秋へ、冬を乗り越え春を迎えるという、季節を巡る綺麗な構成でした。またそれぞれの季節が物語上の起承転結と一致しており、そういう意味でも気持ちがいい構成となっています。前向きな2人が出会って、知らないことを知っていき、恋に落ちていく過程が説得力をもって描かれており、とても清々しく好感がもてました。

ジョゼ虎_台所
台所用の台を作ってあげるところ、好きです

アニメーションは『僕のヒーローアカデミア』や『血界戦線』など、アクション作画で定評のあるボンズですが、作画がとっても丁寧で日常芝居が上手かったのでもっと見たかったというのが本音です。雑多だけどおしゃれなジョゼの部屋の内装や、大阪の町を描いた背景美術も美しく、スクリーン映えしていました。

キャストの演技も自然で良かったです。恒夫役は中川大志さん、ジョゼ役は清原果耶さんと本職が俳優の2人を起用していましたが、全くと言っていいほど違和感なく、「アニメの喋り方に寄せたくない」という監督の意図が反映されたものになっていたと思います。最近、俳優さんがアニメ映画に起用されても違和感なくむしろ好演しているという例が増えていて良いですね。

また、恒夫のバイト仲間で、2人の恋の当て馬になってしまう舞を演じた宮本侑芽さんの演技もさすがプロといった感じでした。『SSSS.GRIDMAN』の宝田六花や『イエスタデイをうたって』の野中晴を演じている彼女ですが、不貞腐れたような「負けの演技」をやらせるとホント上手だなと思います。そのキャラを応援したくなっちゃいますね。

ジョゼ虎_バイト
バイト3人衆。真ん中の子が舞ちゃん

キャストでいうとゲスト出演していた見取り図の2人が好対照をなしていて面白かったです。バイト先のダイビングショップの店長を演じた盛山さんは本当に自然な演技で、クレジットを見るまで声優さんだと思っていたので意外でした。このあと声のお仕事増えるんじゃないかな。逆に駅員を演じたリリーさんはかなりの棒演技(笑)。必見です。

このアニメ映画を観たあと、実写映画のほうも気になって観たんですが、実写のほうもかなり良かったです。池脇千鶴演じるジョゼが可愛くて最高でした。ただ、アニメ版とは打って変わって現実的で切ないラストになっているのが大きな違いです。自分はどっちも好きなんですけど、アニメとしてはやはり本作のようなハッピーエンドのほうが余韻が良いですね。それから実写だと、池脇千鶴が良かった、あるいは妻夫木聡が良かった、と俳優の演技が印象に残るのですが、アニメだと「ジョゼ」や「恒夫」というキャラが良かったという印象になり、フィルターをかけずにキャラクターを見れるのがいいですね。

ジョゼ虎_パンフ
インタビュー満載のパンフ、買ってよかった

生物学を研究している自分個人としては近藤滋先生が出てたのがツボでした。恒夫が通う大学の教授ですね。実際に大阪大学で魚の模様の研究をしている先生で、業界ではユーモアのある有名人だったりします。取材協力をされていて、この映画がしっかりディテールにこだわっていることが分かりました。

音楽も良くて、今をときめくEveさんがなんと挿入歌と主題歌の2曲も提供している贅沢仕様。最近、ネット発のミュージシャンが映画・アニメの主題歌を務めることも多くなってきましたが(ヨルシカさん、YOASOBIさん、ずとまよさん等)、その中でもEveさんは様々な曲調でオサレサウンドを生み出しているので、すごいなと思います。

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今回はこんなもんですかね。とにかく爽やかで可愛らしくて、綺麗な映画でした。円盤出たら買います。