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【ネタバレ】映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』感想|ファン歓喜のお祭り映画

これは"""ガチ"""の"""マジ"""で凄いことしてる映画。【ネタバレ注意】です。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』

本当にこれまでスパイディーの映画を見てきてよかったと思えた映画。初日に満員のIMAXで見たんですけど、そうした「物好き」が集まったことで劇場内がサプライズにどよめき、ファンサービスに笑うという一体感が生まれてたのがまたオツでした。

【ネタバレ】レビューとして最初にこれに触れないのは嘘だろと思うのでもう書きますが、、




アンドリュー・ガーフィールドスパイダーマントビー・マグワイヤ=スパイダーマンも出てきたのが!!!もう!!!!最高すぎた!!!!!

これはスパイダーマン映画の歴史を少しでも知っている人からすると凄いことなんですよね。スパイダーマンの映画というのは、すなわち「権利」という"大人の事情"の歴史でもあり、無印3作、アメスパ2作はソニーが製作したものの、業績不振によりマーベルとパートナーシップを締結し、MCUスパイダー2作が作られた。しかしその後、ソニーとマーベル側の権利を巡った決裂が生じ、一時はスパイダーマンMCUから離脱することも報じられ、、。どうなることかと危ぶまれた中、マーベルとソニーが手を携えてこの3作目を協同制作することが決定。

まあ長々と書きましたけど、そんな決裂の過程を知ってるんで、ソニーが撮った2シリーズの主人公がMCU映画に出てくるなんて夢のようなことなんですよ。しかもファンはこの、ともすると2次創作的な「画」を一度は見てみたい、けど有り得ない。そう考えてたもんで、自分なんかは何度心の中で「エグーーーーーッッ」と思ったことか。マジで。

いつだかの『ターミネーター4』のCGシュワルツェネッガーみたいにCGを疑いました、最初は。でも、ゼンデイヤと、そしてトムホと、会話してる!!"""ガチ"""やん......。アメスパのスパイダースーツを纏ったアンドリューから登場したのがまた良かったですね。順番的に。まだ「アンドリュー・ガーフィールド」のほうが出そうじゃないですか。役者としてアメスパ以降すごい成功してるし。「え、これはまさか...?」と思わせてから魔術で開いた円環から出てきたのは、歳を重ねた普段着のトビー・マグワイヤ。驚き通り越して笑っちゃいましたね。全然映画で見てなかったのに出てくれるんだ...。そして。トムホと絡む。ピーター・パーカーが3人いるというファンの暗黙の了解をイジる。兄弟が欲しかったという会話をアンドリューとトビーがする。スパイダーウェブが手首の穴から射出するというトビー=スパイディーの今考えると恥ずかしい設定に2人が質問し続ける。夢か?最高やん???

とまあ、これだけで言いたいことは言ったような気がするけど、レビューとしてもうちょっとちゃんと書きますハイ。

前作、『ファー・フロム・ホーム』の直後から物語は始まる。ミステリオの手によってスパイダーマンがピーター・パーカー(トム・ホランド)である事実、スパイダーマンこそが脅威の根源であるというフェイクが全世界に広まってしまう。高校3年生になった恋人のミシェル=MJ(ゼンデイヤ)、親友のネッド(ジェイコブ・バタロン)はスパイダーマンの友達という理由だけで大学進学を拒否される。メイ叔母さんを含め、周りの人々に迷惑がかかることを悩んだピーターはドクター・ストレンジベネディクト・カンバーバッチ)に助けを乞い、得意の魔術で全世界の人々からピーター・パーカーがスパイダーマンであるという記憶を忘却させようとするが失敗。"ピーター・パーカー"を知る人物たちを別世界から呼び寄せる"マルチバース"の扉を開いてしまうーーー。

というプロットなんですけどね。まず、大学受験を1本、軸に据えたのが良かったですね。それだけで、高校ももう3年で卒業が間近であることを観客に実感させ、青年から大人に変わるという本作のテーマを意識させ、ラストのエモく切ないピーターとMJの会話を際立たせた。巧いっす。

テーマについてなんですけど、本作は「ホーム」シリーズ最終作にしてトムホ=スパイダーマンの真の始まりの物語といえます。『ホームカミング』で主演として登場したときにはトム・ホランドというこれまでのスパイダーマン映画に比べ若い役者を抜擢し、フレッシュさ、高校生感を全面に押し出していました。また、これまでの定石だったベン叔父さんの死からヒーローとしての責任を自覚する、という導入はオミットされた。結果、明るく楽しく、「可愛さ」さえ感じる映画となったわけですが、その見返りとして、どこか地に足がついていない不安を内包していました。本作では、ピーターにとって唯一の家族だったメイ叔母さんが亡くなり、「大いなる力には大いなる責任が伴う」というスパイダーマン映画の代名詞ともいえる言葉を遺します。涙や苦悩が彼を成長させ、最後には「大人」の顔つきに変わっていることに驚きました。もうほとんど親目線みたいな感覚になってましたが。

ただ、まだまだ精神的成長は未熟なのが心残り。ラストのグリーンゴブリンとの決闘で最後トビーがグライダーを止めていなかったらトムホは怒りに任せてそのまま殺していたでしょう(このシーンはこのシーンで無印1作目でグライダーで殺したトビーが、時を経て親友の父親を殺させないというエモいシーンでもあるのですが)。自身の感情を制御できない未熟な部分を残し未解決のまま、この映画は終わっていく。今後があるとしたらしっかり描いてもらいたいですね。

あと特筆すべきはアンドリュー=ピーターがMJを救ったシーンですかね。スパイダーマン映画ではヒロインは落下するものと相場が決まっているのですが、『アメイジングスパイダーマン2』では落下するグウェンにあと少しのところで手が届かず帰らぬ人となってしまいアンドリュー=ピーターが悲しみの底に沈む展開で、当時かなり衝撃的でした。本作ではその展開を受け、トムホ=ピーターが落下するMJに手を伸ばすもグリーンゴブリンに邪魔される。その瞬間観客には、「いや、この場には手を伸ばさなきゃいけない人物がほかにいる」と脳裏をよぎった。結果、その通りに、アンドリュー=ピーターが救う。救うことで自身が救われたアンドリューはMJに大丈夫と答えながらも目に涙を浮かべている。なんと憎い演出なんでしょう。公式がファンの期待に応え、それ以上を提示する。やってくれたでマーベル公式。

以下、駄文書き散らし。---

・メイ叔母さんとハッピーが別れたの草。なんだったんだ笑。

・トニー・スタークを思わせるピーターの作業に目を細める。

・ネッド、自分はヴィランにはならないから信じてと可愛いことを言う。

・ヴェノムのシンビオートから足が生えてエンド。どうなる。

ゼンデイヤかわいい。トムホとのイチャイチャかわいい。一生やってろ。

ドクター・ストレンジポンコツっぷりなんなん?事前にもっと話し合え。面白いから許す。

・無印2の「腰が...」と言うセリフをパロディー。トビーとアンドリューが背中合わせになる。なんなんこの画。2次創作やろこんなん。

ヴィランがオリジナルキャストのままで集結したのホントにテンション上がった。ドクター・オクトパスのダークな雰囲気から一転して可愛く吠える犬みたいになってたのも面白かったし、ウィレム・デフォーのグリーンゴブリンがまた観れるとはね。またこんなに活躍(?)するなんてシリーズ通して最強の敵なんじゃないかな。優しい雰囲気と邪悪な雰囲気を同居させる表情。天才っすわ。


唯一の欠点は148分と長尺であること。このお祭り映画でしょうがないかもしれないけど。あと、スパイダーマン映画に加え数多いMCU映画の履修が必要になるから人に薦めにくい笑。これはファンゆえの愚痴。

年始にして年間ベストものを観てしまった。どうなる2022年の映画界。