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映画『名探偵コナン』初期10作品感想|【前編】

コナン映画の最新作『名探偵コナン 緋色の弾丸』が新型コロナウイルスの影響で公開延期に。それを受けて、映画の1作目から10作目を順次無料公開してくれるという太っ腹ぶりだったので、ありがたく視聴しました。

だいたいは過去に何回か見た作品だけど、ところどころ忘れている箇所もあり、いい振り返りになりましたね。

名探偵コナン 時計じかけの摩天楼 (1997)

時計じかけの摩天楼

もう何度も見ているが、シリーズ1作目にしてコナン映画のお約束が出来上がっていることに驚く。

胸躍るオープニングのテーマ、アクションと推理の融合、お得意の「らーーーん!!」。コナンクイズもいつもの阿笠博士ではないがすでに出題されている。

初期作品はきちんと推理があるから良い。張られた伏線がきちんと回収されていくのが心地よい。

少年探偵団もしっかり活躍するし、コナンのアクションも素晴らしい。コナンが爆弾を持って自転車で走るときに挿入歌『キミがいれば』が流れるのもアツい。

最後、爆発のあった高層ビルから無事生還してラストを迎えるエンドは、『ダイハード』1作目を彷彿とさせ、ハリウッド映画と張るぐらいのカタルシスを得られる。

名探偵コナン 14番目の標的 (1998)

14番目の標的

メンバーは第1作とほぼ変わらず、妃英理が登場。小五郎と別居することになった過去が映画で明らかになるという粋な計らい。

小五郎と英理の関係を見られるだけでこの映画を観る価値がある。やっぱり小五郎は映画だとめちゃめちゃカッコいい。

ラスト、ヘリポートでコナンを映しながらカメラがぐるっと一周する回り込みのカットは、コナン映画史上5本の指に入るぐらいの名作画なのでぜひ見て欲しい。

名探偵コナン 世紀末の魔術師 (1999)

世紀末の魔術師

劇場版でキッド、服部平次、和葉、灰原が初登場した作品。といっても、平次と和葉は序盤だけの登場で出番は少なかったため、ちゃんとフィーチャーされるのはもう少し先となる。

舞台が3ヶ所あり、最初は大阪、次に東京へ向かう豪華客船、最後は横須賀の古城。場所を転々と変えるため、地に足のつかない感じでややフワフワとしてしまった点が残念。

また、キッドの予告状の「へ」の字から犯行時刻を午後7:20と推理するところや、狙撃手が絡んでいることからすぐに国際警察に手配されているスコーピオンを疑うくだりなどに推理の粗さが目立った。

それでもニコライ2世という実在の人物が絡む家族の話がストーリーの肝で、最後に地下でエッグから思い出の写真が映し出されるシーンは切なくもほっこりとした。グッとくるものがあった。最近は事件のストーリーで魅せる作品が少ないので良いものを観たという気持ちになった。

名探偵コナン 瞳の中の暗殺者 (2000)

瞳の中の暗殺者

佐藤刑事や千葉刑事が劇場版初登場。その佐藤刑事が事件の犯人に撃たれ、目撃者の蘭が記憶喪失になってしまうという話。

やはり名作ですね。蘭が記憶を失ったあとの物憂げで虚ろな表情の作画が素晴らしい。切ない音楽もマッチしていてグッときてしまった。

蘭と、周りの小五郎や妃英理、園子や少年探偵団とのやり取りに心温まるし、ほんとにいい関係性だなと思う。小五郎とかやっぱりかっこいいんだよな。

事件の方も物凄くしっかりと作られていてコナンの名推理も光る作品。ミステリーとしても伏線が最初から貼られておりそれがラストで回収される気持ちよさ。さらに本作の特筆すべきは、「硝煙反応をいかに消したか」というカギとなるトリックが、最後の噴水広場での映像と重なり、蘭が全てを思い出すという、映像を用いた視覚的演出によって昇華されるシーン。後にも先にもない印象深いシーンなんだよな。

ラストシーン小田切警視長から「君はいったい、、」と聞かれ普段なら「江戸川コナン…探偵さ」と答えるところを「Need not to know... ボクはただの小学生だよ」と答える。その答えに小田切警視長は敬礼を送り、踵を返して立ち去るところで一枚絵となりエンドロール。この一枚絵はとんでもなくカッコよかった。

余談だけど白鳥刑事の妹の結婚を祝う会が開かれており、「白鳥刑事ってこんな妹いたんだ」と新たな発見があった。

名探偵コナン 天国へのカウントダウン (2001)

天国へのカウントダウン

哀ちゃんのための映画。劇場版としては黒の組織のジンとウォッカが初登場する。

この時期の哀ちゃんは精神的に不安定なところがあり、少年探偵団との日常にもうまく馴染めず孤独を感じていた。この映画ではコナンや歩美、光彦、元太が彼女の心のわだかまりを解くという、主要登場人物の大きな成長が描かれるという点で珍しい。

前作『瞳の中の暗殺者』と同じくらい好きだなぁ。前作が蘭とコナンの映画だったとしたら、今作は哀ちゃんと少年探偵団の映画かもしれない。もちろん蘭にも見せ場があるが、歩美、光彦、元太、一人ひとりがしっかり活躍してるのが良い。

子供たちの恋愛も微笑ましくて良い。蘭が恋愛相談所になる展開も面白い。

伏線の回収も見事であり無駄なシーンが1つもない。歩美ちゃんの計る時間、背景の富士山、元太の米粒発言、園子の髪ウェーブ、パーティーを抜けて赤ちゃんをあやす母親など、すべての伏線が物語と有機的につながりカタルシスを迎えるのが気持ちいい。

また、なんと言っても舞台となるツインタワービルの細かな設定がかなり慎重に作りこまれており、物語の舞台装置として非常に優秀。連絡橋の位置やエレベーターが止まる階、屋上のプール、爆破されるコンピュータルームの階など、どうやって考えついたんだ、と思わされる設定の妙。

今回のように1作目から順を追って見ている人たちからすれば、森谷帝二の弟子が出てくる展開もニクい。こう繋がってくるのね、と思った。

事件は事件として、そして黒の組織が起こすパニック要素がラストにあり、エンタメ作品としてすごい完成度だと思う。めちゃ面白いし、ワクワクして見ていられる。

まとめ

こうして見てますけど改めてコナン映画最高だな〜と思いました。ワクワクしますね。特に『キミがいれば』の挿入歌が流れるシーンは「これこれ!」とテンションが上がります。

初期作品は推理パートがほんとにしっかり作り込まれている気がしました。そこに加えてアクション要素があるという感じで、決してアクションを見せることがメインになっているわけではないというか。

後編も後日アップするのでぜひ。

後編はコチラ!

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