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映画『ブラック・クランズマン』感想|ユーモア溢れる黒人差別反対映画

黒人差別をユーモアと皮肉によって娯楽作へとまとめ上げた、実話に基づく映画。緊張と緩和、シリアスとユーモアに彩られた本作は、あっと驚くラストのシーケンス映像まで、大胆にも現実を皮肉った良作となっていました。

ブラック・クランズマン
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スパイク・リー監督作は、駄作『インサイド・マン』しか見たことがなく、ほとんどそのオリジナリティーを知りませんでした。この作品を見るまでは。

監督自身、「黒人」であるがゆえのメッセージと、この現状をオレが伝えてやるんだという気概が作品全体に、そしてラストのニュース映像に、表れていたといっていいでしょう。

僕もそうでしたが、映画館のお客さんも所々で結構笑っていて、それくらいユーモアに溢れる脚本は、一見地味で重くなりがちなストーリーとテーマを身近で親しみやすいようにマイルドな味付けをしています。

しかし、もちろん黒人への偏見が内包する皮肉、警官内部での差別など、スパイスを入れるのも忘れてはいません。さらに、黒人差別という骨太なテーマの中に、アダム・ドライバー演じるフリップの、「ユダヤ人としてのルーツ」というサイドストーリーを用意する懐の深さには頭が下がる想いさえするのです。

これまでアメリカに蔓延(はびこ)っていた人種差別に「Hell No!」、そしてトランプ政権になったことでその人種差別がいまだに燻り助長されている根深くて怖い現実に「Hell No!」を叩きつけんとする意欲作です。