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映画『ヴェノム』感想・レビュー 日本人気なバディムービーを考察 8点/10点

公開前から日本の映画ファンの中で盛り上がっていた、『ヴェノム』を早速見てきました!

あらすじ

スパイダーマンの宿敵として知られるマーベルコミックの人気キャラクター「ヴェノム」を、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「ダンケルク」のトム・ハーディ主演で映画化。サム・ライミ監督作「スパイダーマン3」にも敵として登場したヴェノムを、「ゾンビランド」「L.A. ギャング ストーリー」のルーベン・フライシャー監督のメガホンで、新たなダークヒーローとして描く。「誰もが望む、歴史的偉業」を発見したというライフ財団が、ひそかに人体実験を行い、死者を出しているという噂をかぎつけたジャーナリストのエディ・ブロック。正義感に突き動かされ取材を進めるエディだったが、その過程で人体実験の被験者と接触し、そこで意思をもった地球外生命体「シンビオート」に寄生されてしまう。エディはシンビオートが語りかける声が聞こえるようになり、次第に体にも恐るべき変化が現れはじめる。(映画.com)

感想(ネタバレ多)

"ヴェノムとエディ"

普通に楽しく見れる映画でした。完全にバディムービーですね。エディとヴェノムの仲の良さといったらないですね。最初に話したときから、"Thank you" "You're welcome"なんて言ったりしていて、笑ってしまいました。もう人間の男友達のようです。この関係性に萌える腐女子もたくさんいそうだと思いました(笑)。

怖い?怖くない?

『ヴェノム』の予告編を見た段階では、スリラーアクションのようで「なんか怖そう」「グロそう」というイメージがあり、そういうのが苦手な僕は不安だったんですよね。しかし前評判から「楽しい!」「面白い!」という感想が多く見られたので、実際見に行ってみると、、

全然怖くはなかった!むしろ笑えるところが多くて楽しめました。グロ描写も最低限に押さえてあり、これならみんな楽しめるんじゃないかな?と思うような、ソニーの良心を感じた映画でした。

バディモノって日本人気?

今作、海外の批評家からの評価は芳しくないようです。こうしたバディムービーって海外ではウケない傾向にあるのでしょうか? 仲の良い2人が、時に協力し、時に反発しながら、敵を追い詰めていくーー。そういうストーリーって結構日本では人気があるような気がします。

海外の映画でいうと『メン・イン・ブラック』や『ラッシュアワー』シリーズはテレビでよく放送されていますし、『ズートピア』は人気が高くジュディとニックのコスプレをディズニーランドでよく見かけます。

ドラマでいうと『SHERLOCK(シャーロック)』シリーズは日本でもかなり人気がありますし、『相棒』シリーズや『チームバチスタ』なんかも好きな人が多いです。

やっぱりこういうバディものって、仲が良い2人の関係性に憧れながら、協力して問題を解決していく過程が楽しく、痛快でシビれるんですよね。

今作におけるヴェノムとエディも実に良いバディです。2人1組というより、むしろ「一体」ですが(笑)。この2人、実は負け犬同士なんですね。エディは務めていたテレビ局からクビにされ、恋人にもフラれてしまいました。

ヴェノムも実は弱い方のシンビオートのようです。どうもシンビオートの世界にはヴェノム以外にも今回出てきたような「ライオット」(つよい敵ですね)のように、色々いるみたいです。

この負け犬どうしのバディ、実に波長が合っています。戦闘のときにエディに協力するだけではなく、フラれた恋人とのヨリも戻そうとしてあげるヴェノム。もはやカワイイですね。お互いが信頼し始めたときの「イチャイチャ」感は女子ウケもするんではないでしょうか。

そういえば『寄生獣

この感想を書いているときに「そういえばヴェノムって寄生獣と同じ構図じゃん」ということに気づきました。『寄生獣』は岩明均のマンガ作品で、高校生の主人公・泉新一が、空から飛来した謎の寄生生物に寄生されるという話です。この作品も、主人公の右手に寄生したことから「ミギー」と名乗るようになったキャラと、泉新一との「バディ」モノと捉えることもできます。

寄生し、戦闘能力が格段に上がり、ほかの寄生生物と戦うという構図どころか、日常生活でも仲が良く、会話を通して信頼関係を強めていくストーリーまでもが一致しています。

アメリカでも日本でも、このようなストーリーのコミックが生まれるというところに不思議な縁を感じますね。ただし、『ヴェノム』がいわゆるダークヒーローとして活躍していくのに対し、『寄生獣』では因縁の敵と対峙する場面が多いですね。また、'90年代の作品ながら『寄生獣』が人気なのは、人間と環境の在り方など普遍的なテーマを世の中に問うている作品だからだと思います。同じ構図を取りながらも、重視するテーマがアメリカと日本で異なっている、というのもまた面白いですね。

1つの映画としてはどうよ?

この映画の良かったところは間違いなくアクションです。特にあのカーアクションのシーンはかなり楽しめました。今どきのドローンも出てきましたし。疾走感アリ、無敵感アリ、魅せるところはしっかりスローで見せる。映画館で見て良かったーと思ったシーンです。

惜しいのは、ストーリーに緩急がなかった点。アクションシーンの疾走感でそのままラストまで突っ走ってしまったので、もっと緩急つけて見せてくれてもいいかなと思いました。

あの2人の男友達感をもっと見たいんだよ!!という感じ。

あと本作にはエディの(元・)恋人役にミシェル・ウィリアムズが出演しています。僕が個人的に思ったのは彼女、印象変わったなーということ。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』や『マリリン 7日間の恋』のときとは違ってカッチリした大人な印象になりました。髪をロングにしたからか?これはこれで役に合っていたし、良い感じでした。

まとめ

期待どおりのバディムービーで非常に楽しかった本作。続編を匂わせるエンディングにもソニーの余裕を感じました。新たな「ソニーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター」の幕開けは明るく魅力的なものになりました。次回作『モービウス』にも期待しましょう。