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映画『ラストレター』感想|現代における手紙への憧憬

岩井俊二監督作品を初めて鑑賞した。彼の故郷である仙台市を舞台に、過去と現代を行き来しながら、亡くなった未咲と鏡史郎の物語が展開される。

ラストレター
©2020「ラストレター」製作委員会

福山雅治の抑制された演技、神木隆之介のまだ学生でも行ける若々しさ、森七菜の透き通るような可愛さが良かった。そして安定の広瀬すず。等身大の少女、そして母親の高校生時代の2役を見事に演じていた。

ストーリーも現代において手紙の文通をするという郷愁を誘うような展開で良かった。切ない恋物語であり、子供を通して分かる真実は巻き戻せない時の流れを感じて感極まるシーンとなっていた。

全体に日本の自然の風景を映したり、かと思えば場末の飲み屋が出てきたりと、色々な展開があって楽しい。日本を感じる家の部屋の内装も良かった。

おまけだが、庵野の演技が心配したほどでもなくよかった。漫画家という設定で実際に絵を描いている場面があったのだが、あれは絶対自身が描いたものなんだろう。

残酷な物語かもしれないが、ところどころで笑えるシーンもあった。もう少し裕里(松たか子)の心情が描けているといいと思ったのだが、これは僕の想像不足だろうか。