あーてぃちょーくのおんせんブログ

A.I. 感想 6点/10点

あらすじ

テクノロジー天文学的なペースで発達した近未来。人間は“感情”以外の面において万能なロボットを召使いとする生活を送っていた。そんなとき、サイバートロニクス社は世界で初めて“愛する”ことをインプットしたロボットの少年デイビッドを作り上げる。彼は試験的なケースとしてサイバートロニクスの従業員夫妻の養子となるが、やがて予期せぬ状況の連続で生活を続けられなくなり、デイビッドは家を出る。(映画.com)

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感想

もともとはスタンリー・キューブリック監督の企画だったが、彼の死去のためにスティーブン・スピルバーグがその遺志を継いで脚本を書き、監督を務めたそうです。そのためか、レビューにはスタンリー・キューブリックならこう撮っていたのに」という意見が散見されます。確かに、最後のシーンで時を超越して2000年後を描いたのは一応のハッピーエンド感を演出するためとは言え、やや蛇足感があります。さらに説明を加えるナレーションはかなり説明過多でした。もう少し鑑賞者に想像させても良かったのでは。

映像的には面白いシーンがいくつかありました。一つは歓楽街のCGです。きらびやかなネオンが立体的に構成されており、センスを感じました。2001年公開ということを考えると、結構綺麗なCGだと思いました。

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もう一つ気づいたのは鏡を使った演出ですね。子供の感情を宿したロボットであるデイビッドが初めて家に来るシーンでは、デイビッドの姿が窓や写真立てのガラスに映っているのを印象的に撮影していました。また、お母さんがデイビッドを置いて車で去っていくシーンでも、車のサイドミラーに切ない顔を浮かべたデイビッドの姿を映していました。

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鏡を使うことで、2つの演出効果があるように感じました。1つは、「見られている」感覚です。デイビッドは常にお母さんを見ようとしています。最初、母親はやがて見られていることに嫌気が差しています(だんだん愛情が湧いてきますが)。もう一つは自我の自覚です。デイビッドは鏡を見た自分の姿が完全に人間の子供であるにもかかわらず、ロボットであるが故に苦しめられます。自分は何か?なぜ自分は人間ではないのか?というこの映画の根源的テーマにもつながっていくのではないでしょうか。

まとめ

最初は母子の愛情という感動・ハートフルな映画かと思っていましたが、意外にもそういう感じではありませんでした。デイビッドの悲壮感をどう昇華させるか、という点であと一歩だと感じた映画ですね。